兄弟 (姉妹)などの鑑定

簡単ではない場合がある兄弟 (姉妹、兄妹)と祖父 (祖母)孫の鑑定

きょうだい鑑定

親子鑑定の場合、常染色体の遺伝子座のアレルをSTR法で調べる方法は100%といって良いほど有効です。それは、親のアレルは必ず、子に伝わるから、各遺伝子座において、母、父から遺伝したアレルが必ず一つずつ見つかります (両親から同じアレルを遺伝した場合は一つのアレルとして検出されます)。しかし、「きょうだい」鑑定は親子鑑定ほど簡単ではないのです。(両親ともにいない、もしくは、片親のみ鑑定参加の場合)下の表をご覧下さい。

親のアレルと子供のアレル、兄弟での一致率
父のアレル 母のアレル 子のアレル *きょうだいでの一致
ケース1 (a) (a) (a) 1/1
ケース2 (a) (b) (a, b) 1/1
ケース3 (a) (a, b) (a)、(a, b) 2/2
ケース4 (a) (b, c) (a, b)、(a, c) 2/2
ケース5 (a, b) (a, b) (a)、(b)、(a, b) 7/9
ケース6 (a, b) (a, c) (a)、(a, c)、(b, a)、(b, c) 14/16
ケース7 (a, b) (c, d) (a, c)、(a, d)、(b, c)、(b, d) 3/4
総合 **9割2分余

*少なくとも一つのアレルが一致する確率
**ケース1-7が同じ確率で存在すると仮定した場合の一致率
両親のアレル構成がケース7の場合、「きょうだい」(両親が同じ)で同じアレルが見つかる確率は75%なのです。
仮に両親のアレル構成が15の検査項目中、15ともケース7であった場合、「きょうだい」の間に同じアレルが見つからない項目は3から4か所という確率になります。
「きょうだい」らしさは各検査項目で一致したアレルの出現率などから出された基礎点数(統計数値)の総積算値で表現されます。一致しなかった項目には0.25という基礎点数が与えられるため総積算値は1/4に減ってしまいます。3項目で一致しなかった場合、実に1/64になってしまいます。
12項目の検査で6,000点を稼いでいたとしても、この場合、総合得点は100弱ということになり、「きょうだい」(全きょうだい)を判定する場合、断定できない微妙な数値となるのです。
生物学的に「全きょうだい」であったとしても、このようなことが起こりえます。
片親が生きているので鑑定に参加してもらう場合はどうでしょうか。母親が鑑定に参加したとしましょう。母から遺伝したアレルは明確にわかります。でも、ケース7を想定すると、鑑定に母が参加したとしても、「きょうだい」で父から遺伝したアレルが一致する確率は5割なのです。
したがって、検査項目数15では父由来のアレルの一致数は7から8か所で、不一致も7から8か所となります。この場合の不一致は、基礎点数が0.5となりますので、7項目不一致があった場合、総得点数は約8/1000に減らされます。

どうですか、この場合でも、上述のような総得点の断定的レベルへの未到達が起こり得ます。

どうしたらよいのでしょうか?

補完的鑑定法があります。

  1. mtDNA
    母からのみ受け継ぐ遺伝情報があります。ミトコンドリアDNAです。mtDNAと表現します。これは1世代的には息子、娘に等しく伝わるのですが、息子に受け継がれたこの情報は、彼の次世代には伝わりません。しかし、娘に受け継がれたこの情報は、その娘に、またその娘に垂直遺伝します。面白いですね。この特性が以下の鑑定に有効です。

    • 「貴方たち」の母は同じ?  実のきょうだいは男女の差なくmtDNA が同じです。
    • 「母方の祖母」と「私」の関係は?  祖母から母に伝わった mtDNA は私にも伝わります。
    • 「母方の伯母、叔父」と「私」の関係は? これも同じ mtDNA をもちます。
    • 「母方の伯母、叔母の子供」と「私」の関係は? これも同じmtDNAを持ちます。
  2. Y染色体
    Y染色体は男だけの染色体、したがって、ここの遺伝情報は父から息子、そして、その息子へと、男系で垂直遺伝します。典型例は日本国の皇太子、現天皇、昭和天皇、大正天皇、明治天皇のファミリートゥリーが象徴的です。
    この特性は以下の鑑定に有効です。

    • 二人の男の父は同じ?実の兄弟はY染色体のSTR検査が一致します。
    • 「父方の祖父」と「俺」、Y染色体STR検査が一致します。
    • 「父方の叔父、伯父」と「俺」、Y染色体STR検査が一致します。
    • 「父方の叔父、伯父の息子」と「俺」、Y染色体STR検査が一致します。

これらの検査法の利用は

「きょうだい」、「おじとおば」、「祖父母と孫」、「いとこ」などの鑑定の基本は親子鑑定に使う20種類のローカス検査ですが、この検査で「きょうだいと云える」、「おじおばと云える」、「孫といえる」、「いとこと云える」という評価の下のランク、例えば順に、「極めて・・・・らしい」、「非常に・・・・らしい」、「・・・らしい」というランク評価が出た場合、この二つの検査法は補完的な役割を果たします。

  1. 結果が否定であれば、常染色体20種のSTRの微妙な判定ランクにあった結果は否定されます。
  2. 結果が肯定であれば、常染色体20種のSTRの微妙な判定ランクにあった結果は補強され、肯定へと導かれます。

どうぞ、この鑑定法を御利用下さい。